プログラム編成方針

はじめに

画像の認識・理解シンポジウム(MIRU)はこれまで、このコミュニティを支える人々によって1992年から運営されてきました。コミュニティの振興とともにMIRUへの参加者は年々増え続けています。そのような変化の下、MIRUのプログラム方針も変遷を重ねてきました。詳細についてはMIRU2023 プログラム編成方針のページで詳述されていますので、そちらをご参照ください。

MIRU2024の運営方針

まず、MIRU2023からの主な変更点を以下にまとめます。

  • 会議の開催形態について、MIRU2024では現地(オンサイト)開催を原則とします。
  • 全ての口頭発表を聴講できるよう、シングルセッションを基本とします。
  • 口頭発表は「研究内容を全参加者へ伝えるプロモーションの機会」、インタラクティブ発表は「参加者同士の議論・交流の機会」という考え方の下、全ての投稿論文・招待講演について、質疑応答はインタラクティブセッションで行います。
  • 口頭発表の機会を最大限確保するため、口頭発表セッションにおけるロング・ショート発表の区分は廃止します。

近年のプログラム編成方針を踏襲し、MIRU2024では以下の観点から参加者・発表者・コミュニティにとって有益な場を提供することを目的と定めます。

1. 発表者にとって、多くの人に自分の研究を知ってもらい、有益なフィードバックを得られる場

  • MIRUは、国内において芽生えた挑戦的・萌芽的な研究をプロモートし、大きく育てる場を提供します。
  • MIRUの口頭発表セッションは、ジャーナル論文や国際会議に採択されうる研究にはまだ達していない研究を主な対象とし、それを大きく育てて巣立たせるためのイベントと位置づけます。
  • 口頭発表を選定するにあたっては、論文の完成度や定量的性能には必ずしもこだわらず、挑戦的・萌芽的な研究、他の研究者への刺激や参考になる研究を高く評価します。また、投稿された論文は(MIRUでの発表に適さない場合を除き)不採録となることはありません。そのため、MIRU2017から「査読」という呼称を廃止し、『「口頭発表候補論文」を「評価」した結果「口頭発表に選定」する』という文言に変更しています。
  • 近年のMIRUでは1000名を超える参加登録があります。口頭発表により一度に多くの聴衆へ未発表のアイデアをプロモーションする機会を提供します。
  • MIRUでは、トップカンファレンス等への挑戦をモチベートする場を提供します。MIRU2023から引き続き、コンピュータビジョン分野の難関国際会議への挑戦を支援する、研究メンターシッププログラムを実施します。本プログラムへは、口頭発表候補論文の投稿時に応募できます。
  • 口頭発表会場では十分な意見交換やディスカッションを行うことや、発表者と聴衆の十分な交流を図ることは困難です。そのためMIRUでは、口頭発表に選定された論文や招待論文も含め、全ての論文に対して参加者同士が対話的に議論・交流できるポスター発表の場を別途提供しています。MIRUではこのセッションを「インタラクティブセッション」と呼称しています。
  • インタラクティブセッションでは他にも、実物を用いたインパクトのあるデモンストレーション専用の投稿区分として、デモ論文を用意しています。
  • MIRUの口頭発表セッションの趣旨に鑑み、査読付き論文誌や国際会議で発表済み(または掲載決定済み)の論文は、口頭発表候補論文として投稿できません。ただし一般論文にはその制限を設けず、海外で発表した研究を投稿し、インタラクティブセッションでアピールや意見交換に活用できる場を提供します。

2. 参加者にとって、分野を総覧でき、トレンドや新技術を学ぶとともに人と知り合える場

  • 近年のMIRUでは400件を超える研究発表が行われており、当該分野の国内会議として最大級です。国内の研究を一度に、かつ横断的に情報収集・総覧できる場となっています。
  • 難関国際会議(トップカンファレンス)やトップジャーナルに採録された研究を紹介する招待講演や最新技術を学べるチュートリアルなど、画像の認識・理解に関する国際的なトレンドを把握でき、最新技術を使いこなすための勉強ができる場を提供します。
  • 近年ではAI技術が発展し、多くの企業で製品開発・事業展開が行われています。MIRUではこうした企業と大学や学生との交流を通して、お互いの理解を深めたり、企業と大学とのシナジーによって新たなアイデアを生み出したりする場を提供したいと考えています。そのために、企業スポンサーによる企業展示をインタラクティブセッションに併設し、また企業企画イベントも開催します。
  • MIRUでは、研究者同士が知り合い、意見交換し、共同研究等につなげる、人的交流の場を提供します。これを促進するイベントとして、MIRUへの参加者は全員を対象とした懇親会を企画します(コロナウィルス感染症拡大状況によっては見合わせる場合もありますがご了承ください)。表彰や来年度の開催地など重要なアナウンスも行われますので、交流・懇親にご活用下さい。

3. コミュニティにとって、日本発の挑戦的・萌芽的研究を大きく育て、国際舞台への挑戦を促す場

  • トップカンファレンス・トップジャーナルに採択された論文の著者を「招待講演」として招待し、その内容だけでなく、厳しい競争と査読に耐えうる研究・論文に仕上げる過程を多くの聴衆と共有します。これにより、トップカンファレンス等へ挑戦する学生や研究者が数多く生まれることを期待します。
  • MIRUではさまざまな賞を設定しています。最優秀賞に相当する長尾賞、それに続く優秀賞と学生優秀賞、将来性を評価するフロンティア賞は、口頭発表論文から賞選定委員会が密な議論に基づき選定します。また、MIRU2024では口頭発表論文に対して参加者が投票によって決定するオーディエンス賞も新設いたします。インタラクティブセッション賞、デモ賞はそれぞれポスター発表とデモ発表から、参加者の投票に基づき決定されます。これらの賞に加えて学生を鼓舞するための学生奨励賞を設定し、これらを受賞した学生や研究者が研究をさらに飛躍させてトップカンファレンス等へ挑戦することを期待します。
  • MIRU2022から導入された、若手研究者が論文評価に加わる仕組みを継続します。若手研究者にとって、同じ論文に対する他の研究者の評価を知ることは、多様な価値観や様々な評価軸に触れる貴重な学びの機会です。この経験は、自らが著者として論文を書く際に、読者(査読者)の気持ちを想像できるようになるという点で役立つと考えています。そのため、口頭発表論文の選定後、同じ論文に対する他の研究者の評価レポートを匿名のまま共有します。
  • 学生や若手(自称若手を含む)が参加する「若手プログラム」を全面的にサポートしています。これはMIRUの会期の前後や夕刻に、より密な交流や共同作業を伴うプログラムで、毎年開催されている恒例行事です。MIRUというイベントを通して醸成された若手研究者のコミュニティが次世代の分野を牽引してくれることを期待します。

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